ラジオFMのメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

デヴィッド・ボウイ(David Bowie)ヒストリー 24th「The Next Day」から25th「Blackstar」まで

20170109  「今日は一日“デヴィッド・ボウイ”三昧」より解説は小野島大氏です。

小野島大「2013年から2016年までです。「The Next Day」というアルバムで、デヴィッド・ボウイが10年ぶりにいきなり復活しました。それも、まったくなんの前触れもなく、公式サイトで告知が始まって、それから新曲のMVが流れて、それからアルバムがでると。結局デヴィッド・ボウイは、ライブもやらなかったですし、メディアに出ることもいっさいなくて、アルバムを出しただけで話題になって、アルバムも売れて、内容も最高だったので、これからデヴィッド・ボウイが大復活して、もしかしたら日本にも来てくれるんじゃないかって我々も希望を持ったんですけれども、とりあえず「The Next Day」というアルバムからという曲を聞いてください。Valentine's Day。」



小野島「10年ぶりということでデヴィッド・ボウイも半信半疑なところがあったと思うんですね。自分が10年ぶりにアルバムを出してみんなに受け入れてもらえるのかって。だからアルバムの内容としては、前のツアーバンドのメンバーなんかを中心として、わりと過去のデヴィッド・ボウイの総決算的な部分もありつつの、新しいものもだしていくというアルバムだったんですね。このアルバムが大成功して、その3年後に「Blackstar」という最後のアルバムが出るわけですけれども、もちろん皆さんがご存知のように、このアルバムを出した発売日の二日後に亡くなってしまったんですけれども、この最後の「Blackstar」というアルバムは非常に攻めたアルバムで、これまで起用していたミュージシャンは一切使わずに、新世代のジャズのミュージシャンを使って、攻めの内容のアグレッシブな内容のアルバムを作ったということで、我々も驚いたし、今後まだまだデヴィッド・ボウイもやる気満々だなということを感じさせてくれただけに、残念な思いも強いんですけれども、とりあえずタイトル曲のBlackstar、10分近い曲ですけれども、是非聞いてください。」



土屋昌巳「まずこのアルバムのビックリする所はドラムですよね。叩いたマーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)本人がネットにのせているんですけれども、最初にデモを聞かされた時に、デヴィッド・ボウイ自身がまったくあれと同じものを打ち込んであって、だからデヴィッド・ボウイはハードディスクレコーダーとシーケンサーをどう使っていくのかっていうことを学んでいたんですよね。マーク・ジュリアナはすばらしいドラマーなんですけれども、まったくその通りに叩いただけだって。実はものすごく大変なんですよ。パソコンを使って打っていけばすぐに音楽になるじゃんってみんな軽くいいますけれども、ものすごく実は大変な作業で、しかも今曲を聞いてもらえば分かるように、ちょっとやそっとじゃできるプログラムじゃないですから。それをご本人が体調が悪い中でやったということは、本当に最後の最後までかっこをつけたというか、かっこ悪い所を見せたくないんでしょうね。普通ミュージシャンだったら、誰かに頼むときは、ザックリと「こんな感じでよろしくたのむ」というのは比較的あるんですけれども、それをやらなかったというか、それができなかった人なんでしょうね。」

小野島「また、打ち込みの通りに叩けるマーク・ジュリアナもすごいですよね。並みのテクニックじゃないですね。最後のアルバムらしい、昔馴染みのミュージシャンを片っ端から呼んで、昔を懐かしむようなアルバムを作ったとしても、誰も文句は言わないじゃないですか。それなのに、最後の最後にまだこの先があるんだと、謎を残して逝ったというのはすごいなぁと思いますね。」

土屋「そういう意味だと「The Next Day」の方が小野島さんがおっしゃったニュアンスがありましたね。」

小野島「あれも最高のアルバムなんですけれども、やっぱりどっちが攻めているかといったらやっぱり「Blackstar」ですね。ここまで、各アルバム一曲づつかけてきたんですけれども、さすがにこのアルバムだけは一曲だけとはいかないので、もう一曲聞いていただこうかと思います。I Can't Give Everything Away。」



土屋「この曲の歌詞が大好きです。歌い出しで泣けてしまいますし、曲としても素晴らしいんですけれども、特に中間部に出てくる「Seeing more and feeling less Saying no but meaning yes」っていう、「見るほどに感情を失ってNoと言ってるけれどもそれはYesだよ」っていう、今まで自分が言ってきたことを全部肯定もするし、否定もするし、結局最後までかっこをつけたと。「Saying no but meaning yes」なんて歌えないですよ普通。恥ずかしくなっちゃいますよね。でもデヴィッド・ボウイだからできるという。あと、象徴的なのが「Blackstar」っていう、夜空にひっそりと、見えない星ですよね。結論から言うと、1967年のデビューから今日まで全部の作品にデヴィッド・ボウイは、星の王子様を書きたかったんですよ。音楽絵本を作って、最後に最大のヒントですね。「Blackstar」っていうのは。要するに、大切なものは目には見えないんだよという。だから、大成功だったと思いますよ。彼の人生は。最後までかっこよかったし、なかなかできるものではないですね。」


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