20121102
中村明美「今日は大統領選が直前ということで、大統領候補のサポートとそのミュージシャンについてご紹介したいんですけれども、アメリカはアーティストとかセレブレティーが大統領の候補を積極的に支援するとわりと思われていると思いますが、実はアートと政治は別だろうと考える人が多いので、なるべく政治については口を出したくないというアーティストの方が多いんですけれども、ここ何回かのアメリカ大統領選挙は激動の時だったので、例外的に支持活動をするミュージシャンも多かったんですけれども、こないだも共和党にクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)が登場して話題になったり、民主党の方はJay-Zとかビヨンセ(Beyonce)が支援活動とか資金活動を行って、お金を集めたりしていたんですけれども、今回非常に興味深かったのはブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)なんですけれども、彼は2004年と2008年と民主党のサポートを行ったんですが、2004年でキャリアではじめて民主党のサポートをするということを明らかにして、それまではどちらかの応援をするといったことはなかったんですけれども、それで2004年と2008年とフリーコンサートなんかをして大変盛り上がったんですけれども、2008年には彼が応援している民主党が当選しまして、それで行き着いたのか今年は政治活動はしないって最初から言っていたんですね。しかし、オバマの方がブルース・スプリングスティーンに今年は非常に接戦になりそうなので、申し訳ないんですけれども接戦になりそうなところでフリーコンサートをしてくれませんかとお願いしたと。ブルース・スプリングスティーンは今年はやるつもりがなかったんですけれども、お願いされてしまったので困ったなということで、結局立ち上がって接戦になりそうな地区、バージニアとかアイオワとかオハイオなんかに行ってフリーコンサートをやって、しかもウェブサイトには何故僕がオバマを支持するのかという、すごい長文の熱のこもった文章をかいて淡々と説明していて、さすがブルース・スプリングスティーンだなぁと思ったんですけれども、結局よく考えてみたら、オバマに頼まれたからというよりもオバマが当選することで、彼が普段歌っているような労働者階級の人たちが助かるのではと思って、彼らのために頑張っているのではないかなぁと思います。」
渋谷陽一「なるほどね。最近の作品はわりとそういう社会構造に対する踏み込んだ歌詞とか書いているんで、彼は彼なりのアーティストとしての必然性において、自分自身の政治的なメッセージを出すという、ある意味すごく健全なアーティスト活動の一環なのかもしれませんね。それではそのブルース・スプリングスティーンの、現在のアメリカに対する彼なりの批評的な視線がそのまんま歌に反映されているナンバーを聞いていただこうと思います。We Take Care Of Our Own。」