今回は、「今日は一日“AOR”三昧リターンズ」よりAORについてまとめます。解説は、金澤寿和氏です。
1980年代に入った頃、AORについて日本で特徴的な現象であったことに、『なんとなく、クリスタル』があります。いまや政治家になっていますが、田中康夫さんの小説です。この当時のヤングアダルトの生活実態みたいな、ブランド志向で、小金持ちで、外車乗り回してという、そういうようなクリスタルな時代、AORがライフスタイルな、そういうものが流行りました。もちろん本が流行ったんですけれども、そこに若者の生活実態があって、みんなそれに憧れた時代だったんですね。今の若者は車はいらないという世代なので全然違う世界ですが、あの当時の20代の人は上昇志向が強かったというか、いい車に乗りたいよねとか、いい洋服着たいよねみたいな文化だったので、それが本の中にスタイルとして書かれていて、そのサウンドトラックがAORだったという時代ですね。その小説が映画化されて、その映画に入っていたのがポール・デイビス(Paul Davis)です。テーマ曲のように使われました。かとうかずこさんのセリフで映画は始まるんですけれども、そこでBGM的に流れていたのが、ポール・デイビスです。I Go Crazy。