音楽のおべんきょうφ(.. )メモメモ

NHK-FMWorld Rock Nowでの渋谷陽一氏の解説で面白かったものをメモしてゆきます。

ロジック(Logic)に学ぶポジティブで明るい引退

20201227

 ロジックは今回の作品で引退なんです。引退アルバムなのですが、世の中引退アルバムはいろいろあったけれども、こんなに「引退イェーイ!うれしい!」というアルバムを作った人はあまりいないんじゃないかなと思います。アルバムタイトルも「No Pressure」で、ある意味プレッシャーの中で戦ってきた人だし、メッセージ性のある楽曲をやったりして頑張ってきたアーティストなんですけれども、ロジックはもともとゲームがすごく好きで、ゲームクリエイターになるんだと。このアルバムのMVを見ると、俺はこんなデカい家に住んで、こんな豪華な暮らしで、こんなに人生が変わってこれで引退だぜ、イェーイ!みたいな感じで、引退って意味が変わってきたなぁとそういうような感じがあって、これも2020年の作品だなぁというところで聞いていただこうと思います。ロジックでHit My Line。



 とても引退の曲とは思えませんよね。まだまだいけそうな。私はJay-Zが引退を宣言したときに、絶対引退しないから、賭けてもいいからって、たぶん全員思ったでしょうけれども。ロジックは分からないですけれども、こんなに引退というのをポジティブに明るくとらえるのは面白いですよね。

ワーキングクラスの代弁者スリーフォード・モッズ(Sleaford Mods)

20201220

児島由紀子「イギリスでカルト的な人気を誇るパンクデュオ、スリーフォード・モッズをご紹介したいと思います。彼らは年明け早々に新作アルバムを出すんですよ。中年パンクというとカーターU.S.M(Carter the Unstoppable Sex Machine)を思いますがどう思います渋谷さん。」

渋谷陽一「この人達は懐かしいくらいに反権力で、いまどきいない感じのさすが中年パンクという感じのデュオですよね。」

児島「そうですね。こういう音楽はminimalist rap-punkと呼ぶそうです。」

渋谷「本当にシンプルですもんね。坦々としたリフにのってすごくメッセージ性の強い歌詞をバンバン言うというこういうスタイルは、今の流行りの音とかなり距離がありますよね。」

児島「ありますね。でも音楽性はウータン・クラン(Wu-Tang Clan)とかあの辺から入ったそうです。でも歌詞はあくまでもワーキングクラスの目線から徹底的にアンチエスタブリッシュメントという。」

渋谷「イギリスではどういう感じで受けているんですか。」

児島「カルト的な人気があるんですよ。アルバムを出してもトップ10には入るくらいに。こういう音楽を求めている人はイギリスには多いんですよ。」

渋谷「それはマニアックな音楽ファンなのか、まさにワーキングクラスのこういうダイレクトな言葉を求めている人たちなのか。」

児島「ワーキングクラスキッズですよ。ノッティンガム出身なんですけれども、ノッティンガムはスラム街がたくさんあるところなんですよ。警察でさえも立ち入ることをためらうような地域が結構あるんですね。マンチェスターにもリバプールにもそういう地域があるんですよ。」

渋谷「そういう人達のダイレクトな言葉を彼らは代弁しているんだ。」

児島「そうなんです。いわゆるスキンヘッズ。非常に暴力的なパンク。そのモダンなバージョンが彼らみたいな感じなんですね。」

渋谷「でもこの人達はそういう右寄りの人達ではなくて、左寄りの反権力の人達ですよね。」

児島「まるっきり逆なんですけれども。」

渋谷「でも強いメッセージということで、日ごろの自分たちの社会に対する不満を代弁してくれるということで、やっぱり社会に対してフラストレーションを持っている層を全部ごっそり持っていく感じなんだ。」

児島「そうなんですよ。例えば、最新シングルのShortcummings。ジョンソン首相の上級顧問にドミニク・カミングス(Dominic Cummings)がいたんですね。非常に国民から嫌われていたんですよ。いつも上から目線で我々に説教するくせに、ロックダウン中のルールを誰よりも先に破って、結局国民の声が高くなってジョンソンもクビにせざるを得なかったんですけれども。この新曲はそれについてなんですよ。Shortcummingっていうのはそのまま訳せば欠点とか短所という意味ですけれども、ドミニク・カミングスにひっかけているんですね。欠点というのを。」

渋谷「ほかの新曲でSpare Ribsという、俺たちは結局いくらでも交換可能な鎖骨にすぎないとそんな曲ですよね。」

児島「そうそう。来年早々にでるアルバムのタイトルもSpare Ribsなんです。この曲は、エリートにとって人の命は消耗品なんだという意味なんですね。」

渋谷「本当にメッセージが一貫してますね。」

児島「今回のコロナの第一波でイギリスはたくさん死人が出たじゃないですか。今も出ていますけれども。イギリスはロックダウンするのに他のヨーロッパ諸国よりも2週間くらい遅れたんですよ。それによって何万人もの死がなくていい人が死んだという統計が最近出まして、国民の不満はそういう面でもたまっているわけですよ。」

渋谷「なるほどね。まさにそういう背景の中で彼らの新作が熱く受けているというのはそういうところなんですね。」

児島「そうなんですよ。我々庶民が言いたくてもなかなか政府のトップには届かないようなことを表現する代弁者みたいな感じなんですよ。」

渋谷「それでは注目のスリーフォード・モッズのナンバーを聞いてください。Shortcummings。」




AC/DCは深化し進化する説

20201129

 AC/DCでRealize。


 6年ぶりの新作「Power Up」からのナンバーです。本当にファンとしては待っていたし、そして本当に出るんだろうかというそういう不安もあった、そんなAC/DCの新作が発表され、そして聞いていただいた通りものすごい作品で、数多くのファンが待っていたその証拠に、いきなり全米ナンバーワンを獲得し、AC/DCが復活したと、そういう手ごたえを感じさせる作品になっております。そしてこれはいろいろなところで、メンバー自身も語っておりますが、亡くなってしまったマルコム・ヤング(Malcolm Young)に捧げるアルバムになっております。そして、メンバー内のシリアスなトラブル、いろいろなものを乗り越えて本当にAC/DCが奇跡の復活を果たしたとそういう作品になっております。どの曲もどの曲も本当に素晴らいナンバーばかりであります。AC/DCでDemon Fire。


 ファンにとっても、またロックを愛する人にとってもたまらない最高のサウンドが鳴っております。よくぞ作ってくれたという作品です。最初にも言いましたけれども、この作品はそれこそAC/DCにとってものすごく高いハードルを越えて奇跡のように作らてた作品です。それはもうこのアルバムを語る人達が全員語っているので知っている方も多いと思いますけれども、アンガス・ヤングの兄であるマルコム・ヤングが亡くなってしまった。言うまでもなくAC/DCの最高のギターリフを作ってきた天才的なリズムギタリストであるし、そしてコンポーザーとしてもアンガス・ヤングとともに作ってきたその彼がいない。そして、今も歌っていますけれども、ブライアン・ジョンソンが前回の作品と前回のツアーの途中で耳が聞こえなくなってしまって、結局離脱してしまう。この病気は絶対治らないだろうと言われていて、現実的に彼の復帰は不可能と思われていたんですけれども、どういう治療法なのかはよくわからないとどの記事にも書いてあるんですけれども、かなり奇妙な、ユニークな治療法によって復帰してこうやって歌えるようになった。また他のメンバーにもそれぞれのトラブルがあったり、もう二度と参加しないというメンバーも戻ってきて、まさにいろいろな奇跡がまとめて起こって、AC/DCの復活作がつくられました。そこに込めたアンガス・ヤングの思いというものがいろいろなところで語られていて、マルコムの葬儀に集まったメンバーで新たな復活が語られたようでありますけれども、本当にいろいろなエモーションが集結した、そういう作品になっております。AC/DCでoney Shot。


 まさにギターリフのAC/DCの黄金のサウンドが鳴っているわけですけれども、一種古典芸能的なニュアンスで、AC/DCというといつも同じことをやっていて、そしてそれが最高みたいな言われ方をしますけれども、同じことをやっていたって絶対に最高のものはできないわけで、やっぱり常にイノベーティブでなければいけないわけです。いわゆる「進化」というのと「深化」の両方があるAC/DC。僕はそこがすばらしいと思うんですけれども、マルコムとアンガスが一緒に曲を作っていて、現実的にマルコムが亡くなってしまって、新曲を作るというのがすごく困難な中で、過去自分たちがつくって、そしてこのタイミングで出すのはどうなんだろうと思われていた曲ももう一度掘り出して、それにもう一度光を当てて作り直して、そして今の時代の中でどういうものが有効であるのかを検証しながら、すごく一曲一曲大切に作られていて、本当に外れのナンバーが一曲もありません。これはアルバムのラストナンバーなんですけれども、そして僕が一番好きな曲なんですけれども、ここにはものすごく複雑なギターリフがあって、ある意味AC/DCと相矛盾する言葉かもしれませんが、非常に前衛的な作りと言えるようなものすごく高度なアンサンブルがあって、その中でなんとも言えないグルーヴ。これは絶対普通は作れないというか、AC/DCがなぜ普遍的であり、それこそ6年のインターバルがあってもあっという間に全米ナンバーワンを獲得できるのかというそのマジックが、決してマジックではないことが当然のリアルであると感じさせるナンバーを聞いていただきたいと思います。AC/DCでCode Red。



 ギターリフもすばらしいんですけれども、歌詞もギターリフと一緒になっていて、歌詞もリフだというすごいですよね。歌詞も音として入ってきますよね。

民主党はやっぱりブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)である説

20201115

 ミュージシャンがいろいろな形で発言してコミットしたアメリカの大統領選が終わって、結果が出て、いろいろな形でまたミュージシャン達が発言していました。有名な話で、海外ではたくさん報道されていましたけれども、バイデンが勝利宣言をするときに登場のテーマソングがブルース・スプリングスティーンだったわけで、そうした意味でも大統領選と直接的にポップミュージックがコミットして、近いなといういろいろな事例を今回の大統領選で我々は見る事ができました。



 僕も見ていていろいろな事を考えましたけれども、アメリカというのは民主主義を本当に信じているんだなというか、すごく投票率が高かったんですよね。そして投票するために8時間も10時間もたくさんの人達が並んで、どうしても自分の一票をしっかり投票したいという思いで、本当に我慢強く待って、日本でこれは起きるのかなぁと思いました。僕は本当に自分の一票を投じたくて、8時間も10時間も並ぶんだろうかと。逆に言えば8時間も10時間も並ばなきゃ投票できないって、民主主義という制度が本当にちゃんと機能しているのかとよとそういうところもあるのかもしれないんですけれども、いろいろな事を思いました。

 参考)、オバマの時もブルース・スプリングスティーンでしたね。

ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)、バラク・オバマ(Barack Obama)を応援する 

アメリカのミュージシャンの政治との関わり方

ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)に学ぶ、オンラインライブはどうあるべきか

20201108

 リクエストでビリー・アイリッシュのオンラインライブが素晴らしいというメールをいただきましたが、本当に素晴らしかったですね。1時間があっという間という感じでした。オンラインライブというと、ライブをそのままオンラインで見せるという概念がいまだに根強くあるんですけれども、ビリー・アイリッシュはそんなことは全くなく、オンラインはオンラインとしての映像表現であるし音楽表現であると。だから、その中で何ができるのかという考えが明確にあって、その中でしっかりとした作品を作って素晴らしかったです。僕自身もオンラインでフェスみたいなものを企画しているんですけれども、その中で新しい価値観をどういう風に提示できるかということが、表現においてもビジネスにおいても、これからのポップミュージックシーンにおけるすごく大切なことのような気がします。


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