20211106
児島由紀子「9年ぶりの最新スタジオアルバムをリリースするスティング(Sting)。ついにロックダウン明け最初のフェースツーフェースのギグをロンドンでやったんです。今までは密室で行わなければならないルールが厳しくて、なかなかレコード会社もアレンジできないでいたんですね。」
渋谷陽一「ロックダウン明けがスティングとはなかなか豪華ですね。」
児島「そうです。しかもこの「The Bridge」という最新アルバムがロックダウン中にインスパイアされて曲を書いて、でもロックダウンアルバムではないんですよ。むしろロックダウン後の100年に1度の危機を人々が生き抜いた後の希望にスポットをあてたアルバムになっています。だからコロナ後にどうするのかと問題を持ちかけるアルバムになっていますね。」
渋谷「スティング元気でしたか。」
児島「元気したよ。ロックダウン中は非常にフラストレーションがたまっていたそうです。」
渋谷「じゃあこれからエネルギーを爆発させるという感じなんですね。」
児島「そうなんです。すでにツアーに出始めていますけれども。待ちきれずに。」
渋谷「ちなみにスティングって僕と同じ年なんですよ。1951年生れでちょうど70歳です。」
児島「ポリスが出た頃はパンク期だったんですけれども、スティングはその時点ですでに大人だったって事ですね。だからポリスっていうのはパンクバンドじゃなかったんですね。」
渋谷「バンド作ってから楽器覚えた所じゃなくて。」
児島「セッションミュージシャンが集まったバンドでしたからね。演奏力もあったし。」
渋谷「ていうか、ギターなんて世界一うまいくらいのギターだったからね。」
児島「私はポリスがブレイクする以前に、ロンドンの小さなパブライブハウスで見たんです。すでにレゲエスタイルを入れたポリスが後に得意としたあのスタイルのロックをやっていたんですけれども、スティングは白人なのに黒人アクセントで歌っていて、非常にインテリを鼻にかけたイヤミなバンドだなと思って途中で帰って、友達の家に遊びに行ったんです。この人達はパンクじゃないなとその時思ったんですよ。」
渋谷「スティングにそんな話はしていないですよね。」
児島「もちろん言いませんよ。今回の取材の前に過去事は一切聞くなっていうマネージメントから釘を刺されていたんですよ。でもいざ話してみたら自分からポリス時代の話をしてましたよ。だからあれは何だったのかしらってビックリしていましたけれども。」
渋谷「でもスティング自身は活動に対して前向きで、やっぱりこのアルバムを引き下げてどんどん行こうというモードなんですね。」
児島「そうなんです。しかも今作の中には今のUKクラブシーンで一番のインフルエンサーであるマヤ・ジェーン・コールズ(Maya Jane Coles)と共作した曲も入っているんです。」
渋谷「今の時代もちゃんと見据えているんですね。」
児島「そう。今の非常にクラブっぽいエレクトリックソウルナンバーなんです。」
渋谷「その辺もなんかちょっとミック・ジャガー(Mick Jagger)に似ているというか、最先端に対する目配りもインテリな目線でチェックしていますよね。If It's Love。」